長田 龍亮『潜入 生活保護の闇現場』(ミリオン出版)


■生活保護の潜入レポ。市の福祉課から約13万程度支給される。ホームレスに声をかけ三食昼寝+お小遣い1日500円を支給するかわり支給額から10万ピンハネする。300人囲えば月商3000万。という話。
著者自身が若くして生活保護を受けながらユニティーで過ごした経験を持ち、ユニティ―代表の和合氏と法廷で争うことになるが良くも悪くも、くだらないことも、ありのままを書いている点が評価できる。

p136

 なぜ、そうまでして働かないのかと、働かずに保護を受け続ける雨宮(28)に問うと、このように答えた。
「生活保護を辞めるメリットがない。働いて15万稼ぐより、生活保護を受けていれば月に13万も
らえて、医療費がタダになるし、都営券を貰えたり、納税も免除されますからね」
 生活保護の価値を考えると、支給される金銭は13万程度であるが、医療費の自己負担がなく、
納税免除など、様々な扶助が得られるのである。働いた場合は基礎控除といって、1万5千円ま
で収入認定の対象外となるので、それらのすべての価値を合計すると金額人して17、18万ぐら
いの値打ちはありそうだ。
「バイトは風邪を引いて休んだら稼ぎが減りますけど、保護費は減ることがないですよね」と、
雨宮は付け加えた。
 働くよりも保護を受けた方がいい――このような逆転現象ともいうべき矛盾点を挙げると、
「最低賃金を自給1500円に上げるべきだ」という意見が出る。もし時給が1500円で1日
8時間労働だと、日給1万2千円。月に20日働いたとすれば、24万円になる。それであれば、納
税して、医療費を自分で支払っても、生活保護よりも収入は上だ。だが、生活保護の利点はもう
一つある。生活保護を受けると「自由な時間」があるのである。週5日、朝から夕方まで8時間
労働で得る収入と、何もしないでもらえる13万円プラス各種の特権制度で17万円の価値がある生活
保護と、天秤にかけたらどのあたりでバランスが取れるのだろうか。
 ここは人それぞれとしか言えないが、このふたつを天秤にかけた結果、後者を選んでしまう人
がいないとはいえない。

■安月給だったころを思い出す話だが、労働時間は自己投資の面もあるのではないか?自己投資をせずに13万貰い続けたところで何になるのか。「自由な時間」には考えさせられるものがあるが、20代の時間をどう使うかよく考えた方がいいと思う。
働いてもお金にならなくて悔しい思いをした経験があるからわかるけど、20代に経験したから意味があったように思う。どうせなら20代にやりたいことを思い切りやってみてから生活保護でもいいんじゃないかと思うけどな。
最低時給1500円っていまどきのバイトは高いんだなと思ったけどこういった背景があるのだな。

p184

 そこで、藤田氏が代表をつとめるほっとプラスの宿泊施設を頼ろうと連絡をしてみたのだが、藤
田さんからは「今いっぱいなんですよね……」と言われてしまい、どうしようもなかった。支援
団体をいくつか当たり、どこか今日からでも入れるところはないかと探してみたが、なかなか見
つからなかった。貧困ビジネスをしているような施設なら簡単に見つかるだろうが、そのような
ところではユニティーから出る意味がない。だが、真っ当な運営をしていると思われる施設は、
どこも「満員」だと言われるのだ。
 しびれを切らした私は「なぜ、たった一人を受け入れることもできないのですか?うちは貧
困ビジネスですけど50ヵ所の寮があって、600部屋あるんですよね」と、電話で問い合わせた
ある団体の職員に言うと、こう言い返されてしまった。
「そちらは商売でやってますよね?こちらはボランティアでやってるんですよ」

p189-190

問題点が改善できれば、ユニティーは存続できたのではないかと思う。
 ユニティーのみならず、この手の施設が、生活保護の本来の目的である自立助長を阻害してし
まうことがある背景には、「入所者が自立をしてしまうと利益が減る」という最大のジレンマが
ある。
 ただ、利益をえることは必ずしも悪いことではない。第八章でも述べたが、藤田氏に行き場
に困った一人を受け入れてほしいとお願いした時、「今いっぱいなんですよね」と彼は平然と答
えた。もし、和合さんであれば、そんなことは絶対に言わない。雑魚寝でも構わないから、なん
とかして受け入れるだろう。それは金になるからに他ならない。何度も述べるが、人助けは理屈
でも正論でもない。狙いは生活保護費であっても、たった今、路上で寒さに震えている人を救済
できるのであれば、それは”必要悪”として存在する価値があるのではないだろうか。

■和合氏の考え方には同感できるところがある。しかし、結局儲けたお金で納税せずに捕まっているので、税金で儲けて脱税して捕まったというのが滑稽だ。しかし、滑稽なだけではなく貧困ビジネス御殿を残したから意味はあるかもしれませんが(笑)
生活保護マンション、とか気になるキーワードを残しつつ本書は終わっているが、『必要悪』という言葉がよく当てはまっている問題だ。

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