山内麻美『バッタンバンのタッカシー』(未知谷)

僕にはお金をくれと言ってる人たちに会ったときにどうするかルールがあるんだ。まず、年寄りには、小銭を持っていたらあげるし、持っていなかったらあげない。そして子どもには、僕は恨まれても罵るんだ。お前なんかあっちへ行けって。もし彼らがここで、手を出せばお金をもらえるんだと思ったら、彼らの将来が駄目になってしまうからね(p.139)

■これは勉強になる。きっと堀本崇さんも最初は迷ったに違いない。インドに行ったときバクシーシといわれてあたふたしたことを思い出す。その後は、あげたかったらあげるあげたくなかったらあげないくらいの構えであったが、この考え方は相手とくに子どものことを本気で考え、最終的にカンボジア人がカンボジアの支援活動ができるように教育を重視したという彼の魂を垣間見たような気がする。

崇の得度式で第一戒師を務めたマハー・ゴサナンダはこう言った。「どうか私たちカンボジア人に魚を与えないでください。魚の捕り方を教えてください」自発性を損なう物資支援をするべからず。崇はこの教戒を常に念頭に置いてきた。(p.199)

■その通り。日本人ではなくカンボジア人がそういうのだからゴサナンダさんは将来を見据えていて凄い。ふつう貰えるならもらう。明日より今の生活みたいな状態だったら自己投資という概念に到達するのは至難の業と思われる。誰かに教わることがなければ気づけないかもしれない。また、支援といってもその場限りでお金をあげるとかなら良いが、個人的には赤十字やユニセフ含めボランティア団体を信用できない性質であり、継続的支援なんて嫌だ。だるくてやってられない、というのが今の本音だ。だが、崇さんのような人が存命なら何考えてんだろう的な興味を持ったと思うし、そこから本当の支援ということを理解していたら、本当に自分のためという形で何かアクションを起こしたのかもしれない。

ファスナーを開けてみてください。カンボジア語の下、「Snadai Neary Khmer」と刺繍してあります。ブランド名「スナーダイ・ニャリー・クマエ」です。スナーダイは傑作、ニャリーは女性、クマエはカンボジア人。すなわち「カンボジア女性の傑作」です。万感の想いを込め、命名しました。(p.204)

■堀本崇が生前に心血を注いだノリア職業訓練所、カンボジア支援活動十周年の感謝を込めて活動を支持してくれる人たちにノリア職業訓練所の人気商品であるペンケースに命名したブランド名だという。このうちスナーダイ・クマエに聞き覚えがあると思ったら、好きなミュージシャンの車谷浩司が歌う歌詞にそれがあった。「砂大工前」ってなんだと思っていたのだが、調べたらやっぱりカンボジア語なのであった。共時性を感じる。

スナーダイ・クマエ孤児院のこどもたち 『こんにちは』
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